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Ex-No.2 美濃加茂アジサイ倶楽部 -花咲かせ地域彩る高校生-
2022年3月23日
番外編はクリネクションのメンバーが外部の団体で執筆をした記事を掲載します。今回は日本青年館の記事を掲載します。
はじめに
日本青年館note高校生記者で学生団体CRENECTIONの池田です。今回は日本青年館が主催する「全国まちづくり若者サミット2022」での登壇で、多くの注目を集めた岐阜県立加茂農林高等学校美濃加茂アジサイ倶楽部で活動されている4名の学生の方に取材させて頂きました。
■話し手
本川 亜依さん(加茂農林高3年)
神戸 彩野さん(加茂農林高3年)
倉澤 菜月さん(加茂農林高3年)
清水 愛菜さん(加茂農林高3年)
中島 充雅先生 (加茂農林高教諭)
■聞き手
池田明日香(CRENECTION)
城田 空(CRENECTION)
田中 潮(一般財団法人 日本青年館)
美濃加茂アジサイ倶楽部とは、岐阜県美濃加茂市の加茂農林高校の生徒たちの活動です。地域の人と協働してスタートした美濃加茂市アジサイロードプロジェクトをはじめ、プリザーブドフラワーの生産やハーバリウムボトル制作、美濃加茂焼きそばアジサイロード Ver の商品化、さらに演劇などを通じてその成果を広めています。アジサイ倶楽部の活動の詳細は以下プレゼン資料をご覧ください。
目次
「あじさいを一緒に植えて」の一言がきっかけ
―――まず、この活動がはじまったいきさつを教えてください。
本川さん:活動を始めたきっかけは、美濃加茂市の金谷地区老人会の会長である小森誠治さんが加茂農林に来訪した際、獣害の拡大や耕作放棄地の拡大などの問題が起きていることを知ったことです。それらの問題を解決するため「あじさいを一緒に植えてくれませんか」という一言から、活動がスタートしました。
神戸さん:アジサイの花を植えた理由としては、まず美濃加茂市の花であること。それから、加茂農林高校5学科すべての学科を一枚の花びらとなぞらえ、その花びらが集まって大きな花になるという意味を込めています。
―――獣害の拡大や耕作放棄地拡大など、美濃加茂市地域の課題解決のために加茂農林高等学校の生徒と金谷老人会の協働によって活動しているという点が特徴的ですね。写真からも活動を通して地域の人との絆が深まっていると分かります。アジサイの花を選んだ理由もとても素敵です。アジサイロードに咲いているアジサイにはたくさんの愛と想いが込められていることでしょう。
ところで、全国の農業高校で学ぶ生徒は全体の3%。非常に貴重な皆さんです。なぜ、農業高校をえらんだのですか。
神戸さん:私はもともと動物が好きで入学しました。花も動物も生き物という共通点があり、園芸流通科に進学しました。
本川さん:小学6年生の時に農林に行くと決めました。知人が通っていた姿を見て楽しそうと感じたことも理由の一つです。
倉澤さん:もともと花に興味があり、中学生の頃からずっと行きたいと考えていたため勉学に励み進学しました。
清水さん:父が農林生の卒業生でもあり、自分もそのような道に進学したいと考えました。
いろいろな人と支えあって生きていることを実感
―――幼い頃からの興味や身近な人の影響など、農業高校に入学を決める際にも様々な理由があることが分かりました。地域全体でも加茂農林高等学校さんのように工業、商業、農業など専門系、職業系の学校が多くあるそうです。
さて、そろそろ本題に入っていきましょう。皆さんがあじさいロードの活動を通じて一番学んだことはどんなことですか。
本川さん:コミュニケーションが大切であると学びました。もともと人見知りだったのですが、周りの人の話を聞いて活動に活かすことが徐々にできるようになりました。また、地域の人が一緒に活動したいと思ってくれていることを知ることが出来ました。
神戸さん:私は少人数好きな性格で初めは地域の方との関わりが不安だったのですが、活動を始めると全く怖くありませんでした。さらに、人と関われるようになったことでいろんな人に自分の意見をまっすぐ伝えられるようにもなりました。
倉澤さん:私は活動を通して地域の人やいろんな人と支えあって生きていることを改めて実感しました。
清水さん:活動を通して意見を出すことの大切さを知ることが出来ました。ただ意見を聞くだけという受け身な姿勢ではなく自分の意見を素直に伝えたり、行動したりする大切さを学びました。アジサイを活用したハーバリウムボトルなども積極的に行動したからこそ完成したものです。一言でも沢山の可能性がうまれます。活動する中で「これやりたい」が現実になる驚きがありました。(一同うなずく)
―――多様な視点から発想を飛ばし、さらに実行されている行動力に驚きました。活動を始めるきっかけが異なる皆さんの活動をする中で学んだことや気づいたことを知ることができ、とても勉強になります。お話の中でコミュニケーションが大切なのだということを改めて感じさせられました。また、いろんな人と支えあって生きているという言葉が印象的でした。地域の人と日頃から関わり合いながら活動されているからこその気づきであると思います。最後に皆さんが口をそろえておっしゃっていた、意見を出すことで可能性が生まれるという言葉には非常に勇気をもらうことが出来ました。
活動を始めても続かなかったり、気持ちが途切れてしまったり。活動をどう継続させていくのかは、若者サミットでもしばしば話題になります。このあたりどのようにお考えですか。
神戸さん:情熱と楽しそうと思わせることが大切だと思います。私たちが活動するときは、常にまちを良くしたい気持ちが前のめりであったことも、受け入れてもらう際のポイントだったと思います。また、地域の人がやってほしいと思っていることをするために、地域の人の声を積極的に取り入れました。
本川さん:みんなが楽しく活動し、笑顔と元気とやる気があれば周りの人にも温かく受け入れてもらえると思います。(一同笑)
信頼関係が一番大切
―――地域の人のために活動する姿勢がとても素敵だと感じました。コロナ禍で地域連帯活動を自粛しなければならないという難しい状況もあったといいます。
本川さん:コロナ禍で交流の場が減少したことで集まる機会が減ったことは大変でしたが私達が出した意見が否定されることは少なく、応援してくださる地域の方がほとんどでした。私たちの学校では生産から流通までを学ぶ過程があり、学校に販売所があるため普段から地域の人に接客したりお話をしたりするなど日常の中でも地域の方との信頼関係をつくれていると思います。
―――地域で新しいことを始めるには、受け入れてもらうまで難しい場面があるのではないかと考えていました。しかし、お話を聞いているとそのようなことはなく、とても応援されている印象を受けました。地域の人との信頼関係をしっかり築きながら、高校生ならではの発想で新しいことに次々と取り組んでいる美濃加茂アジサイ俱楽部の皆さんのエネルギーは、地域になくてはならない宝物だと思いました。
本川さん:このような活動を継続する上では、後輩に活動を引き継ぐことと信頼関係がとても重要だと思っています。
神戸さん:確かに。分からなくなったら終わりだもんね(全員うなづく)。あとは信頼関係ですね。本川さん:地域の人から加茂農林ならいいよと言われるような関係を築き続けていきたいです。
清水さん:アジサイロードのような活動を美濃加茂市全体に広げていきたいです。本川さん:このような活動を続けていくためには、資金援助なども必要になってくると思います。後輩に活動を引継ぐとともに、宣伝をしながら活動を知ってもらうことが重要だと考えます。
―――これからどんなことに挑戦したいですか。
神戸さん:流しそうめんをしてみたいです。竹の群生があるため活用できるのではないかと思います。森や木に詳しい森林科学科と協力し、流しそうめんの台だけでなく、器や箸まで全部竹の流しそうめんができたらいいなと思っています。
本川さん:近所にある小学校の子と一緒に竹馬づくりがしてみたいです。
清水さん:金谷地区だけでなくアジサイロードを美濃加茂市中に広げていきたいです。
倉澤さん:やきそばづくりは麺が命。製麵所を金谷地区につくりたいです。製麺所をつくることで地区盛り上げる効果があり、卒業生の就職先にもなるので地域活性につながるのではないかと思います。
若者がいたいと思える空気感がポイント
―――沢山のプランがあることがすごいと思いました。どのプランも非常に魅力的ですね。中でも製麺所をつくるというアイデアは地域の雇用という点にも視野を広げられており、いつか実現されたらいいなと感じました。すべてのプランに地域の魅力を最大限活用できるものという共通点があると感じました。今まで地域で活動されていた皆さんの柔軟な思考に改めて刺激を受けました。そんな今後のプランを考えるうえで一つ質問です。皆さんにとって、地元美濃加茂市の魅力ってどんなところですか。
本川さん:私はもともと名古屋に進学・就職するつもりでしたが、地元にいたいと思うことが多かったので岐阜に残ることにしました。若者がずっと住み続けたい、ここにいたいなど地元にいたくなる要素を増やすことが大切だと思います。美濃加茂市は空気が綺麗で植物も多いです。栄えすぎず栄えなさすぎずの間をとることでもっと人が増えていくと思います。
神戸さん:私は進学先を名古屋にしたのですが、やっぱり美濃加茂市にいるときにはすごく落ち着きます。安心できる空気感や戻ってこられる場所、居場所として地元があるといいですね。まとめると、居場所であること、残りたいなにか、このまちが好きだなと感じるポイントが大切だと思います。
―――近年、過疎化が全国で広がり若者の地元離れも増えている中で、必要なことを知ることが出来ました。まちの空気感などは実際に行かないと分からないため、地域に住んでいない人に対してアピールしていくことでそのまちの魅力に気付く人が増えると思いました。そんなまちをつくっていくために必要なことってどんなことだと思いますか。
本川さん:人の意見を聞くこと。聞く→実行→反省→改善するというループが大切だと思います。
神戸さん:活動するうえでは自分たちだけでなく地域の人と交流が大切なのであいさつなど小さいことの積み重ねや楽しむ気持ちが常にあります。
本川さん:たしかにそうだよね。地域の人に一緒にやりたいと思っていただけることが大事です。
倉澤さん:自分たちだけ楽しい活動をするのではなく、成果を残すことで地域活性につながると思います。
気がついたら活動に参加していた、くらいでいい
―――若者サミットはまちづくりに取り組む若者たちが出会い、つながりあう場として今年で3回目を迎えました。今年のサミットで一番印象に残ったことはどんなことでしたか。
清水さん:バーベキューなどのイベントをしている団体が楽しそうでした。
倉澤さん:大正大学地域創生学部の方が発表されていた、公園でのまちづくりが印象に残りました。お年寄りの人の居場所や交流場所になっていて良いと思いました。
本川さん:ながさき若者会議の寺子屋の取り組みが面白かったです。子どもが少ない地域では公園がないこともあり、共有スペースとしてお寺が使えるという点に驚きました。
神戸さん:同じ高校生の団体の方が発表されていた中で、イベントにはやる気のある人しかこないという言葉にとても共感しました。結局、関心のない人にどうやって届けるか、ということが一番大きな課題になってくると思います。
―――そうですね。活動をどう広げるかということは、サミットに参加した全員に共通する課題ではないでしょうか。
本川さん:まちづくりに参加するという固い感じではなく、気付かないうちにまちづくりに関わっている取り組みを沢山することが大切だと思います。自然とまちづくりに関わる取り組みでまちのいいところに気付いてもらうために宣伝していく必要があると思います。
清水さん:言わなければまちに望むことが分からないので、希望を出せる場をつくることも大切だと思います。
倉澤さん:気付かないうちに参加してもらうためには、例えば B 級グルメのイベントで食べ物にチラシをつけて地域への興味を広げていくことで地域活性参加のきっかけをつくれると思います。
―――気がついたら、まちづくりに参加していた。そんな取り組みを広げていくためにできることはいろいろありそうです。中でも、都市と地方の格差が広がり、地域の持続可能性が問われています。地域の未来を担う私たち高校生の意見をお聞かせください。
神戸さん:過疎化問題については人の呼び込みが大切だと思います。美濃加茂市山ノ上町金谷地区は空気が本当にきれいです。肺が喜びます。まちのいいところを知ってもらう民泊イベントの開催などは解決につながるのではないかと思います。
倉澤さん:後継者不足の問題では若者に発信することが大切だと思います。HP やアプリなどネット上で募集し、後継したい人が集まれる場所をつくり市や県全体でアピールすることで解決できると思います。
本川さん:地域で活動するうえで若者でも大変なことも多いです。手作業で行うハーバリウム作りなどは誰でも参加しやすいため、一緒に地域活性のためにできることを考えることも大切だと思います。
―――地域活性に興味のない人に関心を持ってもらうために、必要なことについて具体的な意見を聞くことが出来ました。気づかぬうちに参加している場面を増やせるようなイベントが、これからさらに開催されていくことが地域活性の近道なのかもしれません。
美濃加茂アジサイ俱楽部の皆さんは過疎化問題や後継者不足問題などの地域課題を考えるだけで終わるのではなく、様々な解決策を考えられていて驚きました。地域活性について興味を持つ人が増えれば、地域課題を解決するための糸口が見える可能性が高くなるのではないでしょうか。
働くことを通じて地域課題解決に貢献したい
―――さて、皆さんも私もいま高校3年生。もう卒業ですね。卒業後の進路や将来の仕事についてどのように考えていますか。
本川さん:私は美容専門学校に進学します。将来は写真家や着付け師として岐阜県内で働きたいです。フラワー装飾技能士の資格を持っているので、着付けの際にはアジサイなどのお花を髪に飾りたいですね。
神戸さん:名古屋の大学に進学します。歯科衛生士として働きたいです。地域で高齢化が進む中で高齢者の歯を見てもらえる場所が少ないと感じていて、自分がその問題を解決することで岐阜県に貢献できたらいいなと思っています。
倉澤さん:園芸流通科で学んでいたので園芸系の学校に進学します。フローリストとして地域交流を通して園芸福祉のような仕事がしたいです。
清水さん:私は就職します。食材や雑貨を地域の人に届ける仕事なので今までの活動で築いた地域の人との関わりを活かして地域の人を笑顔にしたいです。
―――高校を卒業される段階で将来の目標がしっかりあるだけでなく、地域に貢献するという目的の両方を見据えていることに非常に驚きました。美濃加茂アジサイ俱楽部での活動で終わりなのではなくこれからも地域活性に携わるという皆さんの強い意志を感じました。
さて、今日は顧問の中島先生にもご出席いただいています。若者サミットでの衝撃のプレゼンの黒幕は中島先生だったとか。そんな中島先生にとって生徒たちはどんな存在ですか。
中島先生:実は事情があり、学年が変わるタイミングで担任を自分がやることになったので、初めは居心地の悪さを少し感じていました。そのような中で仲間づくりをしていたら、いつの間にかまちづくりが見えてきたという感じです。生徒は私の居場所をつくってくれました。(一同拍手)また、学校の校内課題研究発表会では最優秀賞もとることが出来ました。最優秀をとったらスタバのフラペチーノをおごることになっていたので、この後、連れていきます。
全員:やったーっ!!
中島:こんな感じでいいでしょうか。(一同笑い)
取材後記 明確なビジョンに驚き
若者サミットでの登壇でとても興味深いプレゼンをされていた加茂農林高校の方に取材をする機会を頂くことができ、非常に良かったです。若者サミットでは聞くことができなかったことも沢山伺うことが出来たのではないでしょうか。文字にするとなかなか伝わりにくいですが、取材時も終始笑いが止まらず、あっという間に時間が過ぎていきました。
私も同じ高校三年生ですが、同い年とは思えないほど明確なビジョンを持って活動されていて驚きました。地域活性の活動の中でも常に主体的に行動されていることがとても分かりました。地域課題についても同世代の人がどのような考えを持っているのかということを知ることが出来て良かったです。
インタビューを通して美濃加茂市では地元の人同士の繫がりが深く素敵だと思いました。これからの活動を伺った際には雇用をつくることまで考えられていて、とても勉強になることが多くありました。また、地域活性に興味がある人を増やしていくためには、気付かずのうちに地域の活動やイベントに参加している状態をつくるということをおっしゃっていたことも印象的でした。私自身、地域活性に興味があるのですが、直接的に地域に貢献ができていないので加茂農林高校の皆さんの行動力を見習い、今回伺ったことを参考に、いつか地域のために新しいことを実行できたらいいなと感じました。
取材者
池田明日香(いけだあすか):神奈川県川崎市在住の高校三年生